老後のお金について、こんな気持ちはありませんか。
・貯金はあるのに、月いくらまで使っていいのか分からない
・旅行や趣味に使いたい気持ちはあるけれど、使ったあとに後悔しそうで怖い
・ネットを見るたびに、「老後資金が足りない」という話ばかりで不安になる
実はこの不安は、お金が足りないことそのものが原因ではありません。
原因は、「使っていいお金」と「触れてはいけないお金」を分けて考えていないことです。
老後資金をひとまとめに考えてしまうと、「使う=減る=危険」という感覚だけが残り、いくら貯金があっても、お金が使えなくなってしまいます。
この記事では、50代独身女性が、老後に「月いくらまでなら安心して使えるのか」を、3つのステップで分かりやすく整理します。
・老後のお金を3つに分ける考え方
・触れてはいけない金額の決め方
・貯金額別の具体例
※この記事で使う「3つに分ける考え方」は、これまでお伝えしてきた「安心ライン(生活基準値・もしも費・ゆとり費)」と同じ考え方です。
・「これは使っていい」と自分で判断できる
・貯金に手をつける罪悪感が減る
・小さくても、老後を楽しむ一歩が踏み出せる
この記事で伝えていきます。
老後資金「月いくら使える?」が判断できなくなる理由
老後のお金について、生活費や将来の備えを整理してきたと思います。
たとえば、
・生活基準値は月15万円
・もしも費は500万円
・ゆとり費は、余ったら使う
理屈では分かっている。
それでも、旅行に行こうとしたとき、趣味にお金を使おうとしたとき、「本当にこれを使って大丈夫だろうか」と考えてしまい、判断ができなくなります。
老後資金を、「使っていいお金」としての予算に落とし込めていない。
それが、判断できなくなる本当の理由です。
老後のお金は3つに分ける|生活基準値・もしも費・ゆとり費の考え方
老後のお金を一括で考えていると、「使っていいのか」「残すべきなのか」の判断ができなくなります。
そこで必要になるのが、老後のお金を3つに分けて考えるという視点です。
老後のお金は、
・毎月の生活のためのお金(生活基準値)
・病気や介護など、もしものために残すお金(もしも費)
・今を楽しむために使っていいお金(ゆとり費)
この3つに分けて考えることで、老後のお金の役割が整理され、「触れてはいけないお金」と「使っていいお金」がはっきりします。
次の章では、この中でも「触れてはいけない金額」をどう決めるのかを、具体的なステップで見ていきます。
触れてはいけない金額を決めるための3ステップ

ここからは、老後のお金の中で「絶対に触れてはいけない金額」を決めます。
この金額が決まって初めて、「月いくら使えるか」を考えられるようになります。
計算は、3つのステップで進めます。
ステップ1|老後資金として使う「総資産」を確認する
まず、老後に使う前提の資産をすべて合計します。
具体的な例をあげます。
・預金(普通預金・定期預金)
・投資資産(投資信託・個人向け国債など)
・保険の解約返戻金など、解約して現金化できるお金
※年金は含めません。
年金はこのあと、生活費を補う「毎月の収入」として使います。
この総資産が、これから「触れてはいけない金額」を決めるための基準になります。
ステップ2|生活のために必ず残すお金を計算する
次に、老後も生活を続けるために必ず残すお金を計算します。
ここでは、年金を「毎月の収入」として考えます。
① 毎月の生活費を出す
老後も生活を続けるために、毎月いくら必要かを整理します。
食費・住居費・光熱費・通信費・日用品・家電の買い替え・車の維持費など。
これらを合計した金額を、この記事では 生活基準値 と呼びます。
② 年金(月額)を差し引く
年金でまかなえない分だけを、資産から補う、という考え方です。
毎月の不足額
= 生活基準値 − 年金(月額)
この不足額が、毎月、資産から補う必要のある金額です。
③ 不足額を想定年数分、確保する
この記事では、65歳から95歳までの30年を想定年数とします。
平均ではなく、長生きした場合でも生活が破綻しないラインを基準にします。
生活のために残す金額
=(生活基準値 − 年金)× 12ヶ月 × 30年
この金額は、老後の生活を守るために触れてはいけないお金です。
ステップ3|もしものために触れないお金を足す
最後に、病気や介護、住まいの変化に備える「もしも費」を加えます。
この記事では、もしも費は 500万円 として計算します。
この金額は、生命保険文化センターや厚生労働省などの公的データをもとに、医療・介護・住まいの変化をまとめて想定した、最低限の安全ラインです。
※もしも費の内訳や根拠データについては、別記事で詳しく解説しています。
→(もしも費の詳しい考え方はこちら)
計算式
触れてはいけない金額
=(生活基準値 − 年金)× 12 × 30年 + もしも費
ゆとり費(使っていいお金)
= 総資産 − 触れてはいけない金額
この計算で、老後資金が2つに分かれます。
・触れてはいけない金額(守るお金)
・ゆとり費(使っていいお金)
次の章では、この「使っていいお金」をどう受け止め、どう考えればいいのかを整理していきます。
計算で分かった「使っていいお金」の意味
ここまでの計算で、「触れてはいけない金額」と「使っていいお金」を分けました。
大切なのは、触れてはいけない金額に手をつけない範囲で、お金の使い方を考えられる状態になったことです。
では、実際にはどう使い始めればいいのでしょうか。
次の章では、いきなり大きく使うのではなく、月1万円から試す方法を紹介します。
月1万円から始める|小さく試して、使い方を見つける
計算の結果、「使っていいお金(ゆとり費)」が分かりました。
次に浮かぶのは、「でも、何に使えばいいの?」という迷いです。
これは、長い間お金を守ってきた人ほど、自然に出てくる感覚です。
ここで大切なのは、最初からうまく使おうとしないこと。
そこでおすすめなのが、月1万円から試すという考え方です。
この使い方は、続けるのが前提ではありません。
合わなければ、いつでも止めてかまいません。
「やってみて、違ったらやめる」それができる金額だからこそ、使い始めの目安としてちょうどいいのです。
この経験を通して、「これは違う」「これは悪くない」そんな感覚が、少しずつ見えてきます。
では、月1万円でどんな使い方ができるのか。次から、いくつか例を見ていきましょう。
友人とのランチ(月1回、3,000円)
例として挙げるのが、友人とのランチです。月に1回、3,000円ほど。
特別な準備は必要なく、日常の延長で試しやすい使い方のひとつです。
「ゆとり費として使っていい」と意識することで、お金を使う感覚を、少しずつつかみやすくなります。
好きなカフェでのひとり時間(月2回、2,000円)
もう一つは、ひとりで過ごす時間に使うケースです。
月2回、2,000円程度。
予定を増やさず、今の生活の中にそのまま取り入れられます。
誰かに合わせる必要がなく、「自分のために使う感覚」を確かめやすい使い方です。
年に一度の小旅行の積立(月5,000円)
すぐに使わず、積み立てる形もあります。月5,000円を、年に一度の予定に回す考え方です。
今すぐ決めなくても、「楽しみに取っておく」だけでも構いません。
使い道を先に固定しない方法として、安心して選ばれることもあります。
使った後の振り返りが大切|3つの質問で「次も使える」安心感をつくる
使っていいお金(ゆとり費)を使ったあと、少しだけ振り返ってみましょう。
その時間や出来事を、「どう感じたか」を確認するだけで十分です。
次の3つの質問に答えられれば、「これは使ってよかった」「次も同じように使っていい」と、自分で判断できるようになります。
質問1|使ってよかったと思えたか
使ったあとに、「やってよかった」「気分が軽くなった」そんな感覚が残っているかを振り返ります。
金額の大小ではなく、気持ちが前向きになったかが判断のポイントです。
質問2|罪悪感は残らなかったか
誰かと比べてしまったり、「使わなければよかった」と後悔していないかを確認します。
もし強い罪悪感が残るなら、その使い方は、今の自分には合っていない可能性があります。
質問3|次も同じように使いたいか
もう一度同じ状況になったとき、同じ使い方を選びたいと思えるかを考えてみます。
「またやりたい」と思えたなら、その使い方は、あなたに合った使い方です。
まとめ|「触れてはいけない金額」を決めれば、残りは安心して使える
老後のお金で迷いが出るのは、お金が足りないからではありません。
使っていいお金と、触れてはいけないお金の線引きがないこと。
それが、判断できなくなる一番の理由でした。
老後資金をひとまとめにして抱えるのではなく、守るお金と、使っていいお金を分ける。
この線引きがあるだけで、お金を使う判断は、ずっと安心してできるようになります。
老後のお金は、使わずに残すことがゴールではありません。
残りのお金を、自分の人生のためにどう使うか。
それを考えられることが、老後のお金と向き合うということです。

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