親の介護退職、迷う50代へ|34年看護師の私が出した答え

親の介護のために、仕事を辞めるべきか。それとも、辞めずに続けられるのか。

50代になって、この問いの前で立ち止まっている方は、本当に多いです。

このまま続けたら、自分のほうが先に倒れる。でも辞めたら、お金も、社会とのつながりも失う気がする。どちらを選んでも、何かを手放すことになる。だから決められない。

私は総合病院で34年間、看護師として働いてきました。そして今、実の母を介護しながら、自分自身も病院を辞めた経験があります。仕事中も母のことが気がかりで集中できない。かといって、母にかかりきりにもなれない。その板挟みのつらさは、私自身も経験してきました。

この記事では、親の介護退職を「すべき・すべきでない」と決めつけません。代わりに、どんな人が限界になりやすいのか、辞めると何を失いやすいのか、辞めずに続けるならどんな選択肢があるのかを整理しました。失業手当や、辞めたあとのお金の不安についても、現実的にまとめています。

読み終えるころには、「自分はどうしたいのか」を、落ち着いて考えられるようになっているはずです。

まずは、一緒に考えていきましょう。

目次

親の介護退職に、たった一つの正解はない

親の介護で仕事を辞めるかどうか。迷っているとき頭をよぎるのは、「この判断、間違っていないかな」「あとで後悔しないかな」という不安だと思います。

でも、先にお伝えしたいことがあります。親の介護に、たった一つの正解はありません。正解がないのなら、どの道を選んでも、それが「間違い」になることもないんです。

あなたと同じように悩んでいる人は、たくさんいます

介護や看護を理由に仕事を辞める人は、厚生労働省や総務省の調査で、毎年9万人から10万人ほど。働きながら介護をしている人まで含めれば、もっと大勢います。

それでも、この悩みはなかなか表に出てきません。介護をしていることを職場に打ち明けられず、一人で抱えている人が多いからです。だから「こんなに苦しいのは自分だけ」と感じてしまう。でも、同じ夜を過ごしている人は、あなたのまわりにもきっといます。

「冷たい娘だ」と思われないか

施設にお願いしようとしたとき、仕事を続けようとしたとき、ふと怖くなります。「冷たい娘・冷たい息子だと思われないか」「親を見捨てるのか」と。その怖さで、本当はもう限界なのに動けなくなってしまう人がいます。

でも、その怖さが出てくるのは、あなたが親を大切に思っているからです。本当に冷たい人なら、はじめから悩みません。

私も、仕事を続けようとするたび「冷たい娘かな」と怖くなりました。でも、悩むのは親を大切に思っている証拠なんです。

どの道を選んでも、大丈夫

仕事を続ける人も、辞めて介護に専念する人も、施設にお願いする人も、根っこにあるのは同じ気持ちです。親を大切にしたい、後悔したくない。

だから、どの道を選んでも大丈夫。あとは、後悔を少しでも減らすために、知っておきたいことを一つずつ見ていきましょう。

辞めるか続けるか迷うときに大事なのは、納得して決めること

「どの道も間違いじゃない」とはいえ、自分でどう決めればいいかは、やっぱり迷います。ここでは、後悔の少ない決め方を3つに整理します。

「どちらが正解か」より「自分で納得して決めたか」

同じ「親の介護で退職」でも、後で後悔する人と、そうでない人がいます。その差は、結果ではなく「自分で納得して決めたかどうか」です。

追い詰められて「もう体がもたない」「介護があるんだから仕方ない」と勢いで辞めてしまうと、あとから「本当にあれでよかったのか」と、ずっと引きずってしまいます。

反対に、使える制度や他の働き方をひととおり調べて、人にも相談したうえで「これでいく」と決めた人は、たとえ大変な日でも「これは自分で選んだ道だ」と思えます。状況や誰かのせいにして苦しまずに済むんです。

5年後の自分が「あの判断でよかった」と言える基準を持つ

判断に迷ったら、5年後の自分を想像してみてください。「あのとき決めてよかった」と言える選択はどちらか。お金のことだけ、世間体のことだけで決めると、5年後の自分が苦しみます。

完璧な答えは出なくて大丈夫です。ただ、「自分は何を一番大事にしたいか」が一つ決まると、判断はぐっと楽になります。たとえば、こんな形です。

  • 親と一緒に過ごせる時間を、悔いのないものにしたい
  • 自分の生活とお金を、これ以上削りたくない
  • 自分の心と体を、まず守りたい
  • 仕事や社会とのつながりは、手放したくない

どれを一番にしてもいいんです。「自分はこれかも」と感じられたら、それがあなたの判断の軸になります。

判断力が落ちているときこそ、人に話して整理する

介護に追われていると、睡眠も足りず、気持ちにも余裕がなくなります。そういうときの判断は、どうしても視野が狭くなります。

だからこそ、一人で抱えて決めないでください。地域包括支援センターの相談員、ケアマネジャー、信頼できる友人。誰でもいいので、声に出して話すことで、自分の本当の気持ちが見えてきます。

誰かに決めてほしいと思うのは、それだけ消耗しているからです。その気持ちごと、人に話して大丈夫。声に出すうちに、自分の答えに近づけます。

仕事を辞めずに親の介護を続ける、4つの選択肢

親の介護退職を避け、仕事を辞めずに介護を続ける4つの選択肢

「辞めるしかない」と思い詰める前に、知っておいてほしい選択肢があります。

辞めずに続ける道は、思っているより用意されています。

公的な制度を使い切る

仕事を辞めなくても、介護のために使える公的な制度は、思っているより揃っています。大きく3つに分かれます。

1つ目は、休むための制度です。

  • 介護休業:対象の家族1人につき、通算93日まで(3回まで分けて取れます)。入院や施設探しなど、まとまった時間が必要なときに。
  • 介護休暇:年5日(対象家族が2人以上なら年10日)。通院の付き添いなど、短い用事のときに。

2つ目は、働き方をゆるめる制度です。

  • 残業を免除してもらう、または残業時間に上限をつけてもらう。
  • 夜10時から朝5時までの勤務を外してもらう。夜勤のある看護師には、特に大きい制度です。
  • 短時間勤務・時差出勤・週の勤務日数を減らすなど。こうした働き方をゆるめる措置は、利用開始から連続3年以上の期間で2回以上使えます。

3つ目は、会社に相談することです。

  • 2025年4月から、介護に直面した社員に、会社が制度を説明し、相談に乗ることが義務になりました。「介護のこと、会社に言いづらい」時代から、会社のほうから声をかける時代に変わっています。

私自身、こうした制度があることすら知りませんでした。教えてくれたのは、当時の師長です。朝は1時間遅く出勤、帰りは1時間早く退社できるシフトに変えてくれました。母をデイサービスに送り出してから出勤し、帰りはできるだけ遅くまで預かってもらって、自分はできるだけ早く帰る。そうやって、母が一人になる時間をぎりぎりまで減らしたんです。

私も制度があることすら知りませんでした。教えてくれたのは当時の師長です。一人で抱えず、まず聞いてみてください。

ひとつ知っておいてほしいのは、介護休業は育児休業のように年単位では取れない(通算93日まで)ということ。これは「自分がずっと介護し続ける」ための休みではなく、「両立できる体制を、この間に整える」ための期間だからです。長く支えになるのは、休むことより、短時間勤務などで働き方を調整することのほうです。

くわしい日数や条件は、会社によって上乗せもあります。まずは勤め先の人事や、厚生労働省「仕事と介護の両立支援」のページで確認してみてください。

介護保険サービスを使う

介護を「自分一人でやる」ものだと思わないでください。

まず相談すべきは、お住まいの地域にある地域包括支援センターです。介護の入口として、無料で相談に乗ってくれます。

要介護認定を受ければ、ケアマネジャーがついて、デイサービス(日帰りで預かってもらう)、訪問介護(自宅に来てもらう)、ショートステイ(短期間泊まりで預かってもらう)などを組み合わせてくれます。

私自身、いちばんの壁は「どこに相談すればいいのか分からない」ことでした。逆に言えば、相談の入口にたどり着けば、そこから道は開けます。まずは地域包括支援センターを、頭の片隅に置いておいてください。

大事なのは、介護する自分も親も、どうすれば安全に、安心して過ごせるか。サービスは、そのための仕組みです。

働き方そのものを変える

「今の働き方」だと続かないなら、辞める前に「働き方を変える」道があります。

たとえば看護師なら、夜勤のある常勤から、日勤のみのクリニックや、自分の都合に合わせやすい派遣・単発に切り替える方法があります。収入をゼロにせず、介護の時間も確保できる、「常勤を辞めずに、月に数日だけ」という第三の道です。

(看護師の単発バイトの探し方は、別の記事にくわしくまとめました → 看護師の単発バイトの探し方を詳しく見る

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家族・きょうだいで分担する

一人で全部やろうとしないでください。

きょうだいがいるなら、できることを分け合う。直接介護できない人には、お金の負担や、手続き・連絡の役割をお願いする。離れていても担える役割はあります。

「私がやらなきゃ」と抱え込むほど、あなたが倒れたときに全部が止まります。分担は、あなたのためでもあり、親のためでもあります。

お金の見通しがついても、介護のしんどさは別にある

辞めるとき、一番ひっかかるのは、やっぱりお金のことです。そこは間違いありません。ただ、お金の見通しがついたからといって、悩みが全部消えるわけじゃないんです。介護には、お金とは違うしんどさもあります。それが、自分の体の変化です。

お金 ― 削るだけでは追いつかない。だから「働き続ける」道を

親の介護で辞める決断は、たいてい「仕方なく」のものです。自分の体も限界、介護にも手がかかる、時間も思うように取れない。続けられないから、辞めるしかない。多くの人が、そうやって決めています。

ただ、辞めたあとに待っているのが、お金の問題です。「貯金となんとかで凌げる」と思っていても、いざ収入がなくなると、残高は減っていく一方です。通帳の数字が毎月小さくなっていくのを見るたび、不安は募っていきます。

しんどいのは、お金だけにとどまりません。仕事を辞めると、社会とのつながりも切れます。やりがいもなくなり、「自分の人生は介護で犠牲になるだけ」という思いが、心に残るようになります。お金の不安と、この虚しさが重なると、毎日を楽しむ余裕がなくなっていきます。

だからこそ、「働き続ける道」があることを、頭に入れておいてください。介護をしながら、月に数日でも、自分に合う働き方で収入を得る。入ってくるお金があれば、貯金が減る不安がやわらぎます。

「こんな働き方があると知っておくだけで、安心材料になる」―その「知っておく」が、いま無料でできます。MCナースネットに登録しておけば、夜勤なし・単発・日勤のみといった求人を、自分のペースで見られます。実際に動くのは、介護が少し落ち着いてからで間に合います。

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辞める前なら、「こんな働き方がある」と知っておくだけで、安心材料になります。じっくり探すのは、辞めて介護が少し落ち着いてからで間に合います。

そして働いている間は、介護から離れて、誰かに「ありがとう」と言われる時間が持てます。家では「介護する人」でも、働く場所では自分の名前で呼ばれ、必要とされる。その時間が、「私の人生は介護だけ」という虚しさから、自分を守ってくれます。

新しい何かを一から始めなくて大丈夫です。看護師なら、資格があります。介護が落ち着くまでの間も、夜勤のない働き方や、月に数日だけの単発という形で、無理なく続けられます。

「月に数日だけ」の働き方が実際どんなものか、その探し方や収入の目安は、別の記事にくわしくまとめました。気になる方は、あわせて読んでみてください。(→ 看護師の単発バイトは50代でもできる?

自分の体も、同時に変わっていく

50代になると、だんだん無理がきかなくなります。若い頃なら一晩寝れば戻ったものが、今は何日も疲れが抜けない。無理をすれば、必ずあとでつけが回ってきます。

介護は、その無理を毎日積み重ねることになりがちです。自分の通院は後回し、疲れていても休めない。親のことで頭がいっぱいで、自分の体のサインを見て見ぬふりしてしまいます。

でも、あなたが倒れたら、介護そのものが止まります。自分の体を大事にすることは、介護を続けるために欠かせません。

34年看護師で実母を介護中の私が、辞めて分かった3つのこと

辞めて1年経った今、見えてきたことが3つあります。

同じように親の介護を抱えながら、辞めるか辞めないかで揺れている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

辞めて分かった、限界には2つの顔があったこと

私が34年勤めた病院を辞めた理由は、複数ありました。

ひとつは、夜勤の限界です。突然のめまいで早退してから、体は確かに限界に来ていました。退職金が30年勤続でほぼ上がりきっていたので、いまがタイミングだとも判断していました。

もうひとつは、母から目を離している自分への限界です。

仕事中、母から何度も着信があるんです。出られない。後で折り返そうと思っているうちに、また鳴っている。

ある日、母は私を探すために家を出て、外で転びました。救急車で運ばれてから、はじめて連絡が入りました。

「私は母をおざなりにしている」―その日、自分が一番情けなかった。

母が外で転んで運ばれたとき、自分が一番情けなかった。体だけじゃなく、心も限界が来ていたんだと思います。

夜勤の限界は体の話、母の限界は心の話。どちらも本当の理由でした。どちらか片方じゃなくて、両方が同時に来ていたから、辞めるしかなかったんだと、いまは分かります。

結論として伝えたいのは、限界には複数の形があるということです。体が辛いのも、心が削れているのも、どちらも限界です。両方を同時に見つめてあげてください。

辞めて分かった、「気づいていたのに認めなかった」自分

母の認知症のサインは、辞める前から見えていました。

母自身が「しっかりしなさい、こんなに物忘れがひどくなるよ」と口に出していました。私は、その言葉を聞き流していました。

本当は、あのとき「これから母は変わっていくんだ」と受け止めて、向き合うべきでした。これからどう過ごすか、どう支えていくかを、少しずつでも考えておくべきだった。でも、私はそれをしませんでした。事実を認めるのが、怖かったからです。

ナースとして何百人もの認知症の患者さんを見てきたのに、自分の母のことになると、見たくないものは見なかった。

辞めて母と過ごす時間が増えてから、認めざるをえなくなりました。

母は、自分の体を洗うことくらいしか「できない」ことがありません。ご飯も食べられる。歩ける。基本元気です。

でも、変わってしまったものが2つあります。

ひとつは性格です。あんなに優しかった母が、怒ったり、威圧的な態度を見せるようになりました。怒ること、誰かにきつくあたることなんて、無縁の人だったのに。

もうひとつは、母の気持ちが分からないことです。

会話としてはもう成立しません。それでも母は私の顔を見て、「みんなに似てるねって言われたよ」と言いながら、可愛いねと私の顔を撫でてくれます。その瞬間、母はちゃんと私を思い出しています。

でも、何がしてほしいのか、何が食べたいのか、どこに行きたいのか、その気持ちが分からない。

会話が消えるよりも、心が読めなくなることのほうが、ずっと寂しい。

父も生前、「最近忙しいんかの、おいしいもの食べに行きたいな」と言っていました。私は「いまは仕事がしんどいから、いつか落ち着いたら一緒に行ける」と思っていました。そのいつかは、来なかった。

結論として伝えたいのは、認めたくない事実こそ、早く認めたほうが後悔は少なく済むということです。気づいているのに見ないふりをしている時間は、あとから一番痛みます。

辞めて分かった、介護は「抱え込まない」でいいこと

辞める前の私は、介護も仕事のように「全部きちんとやらなきゃ」と思っていました。看護師だった分、なおさらです。

でも、辞めて母と過ごすうちに、それでは続かないと分かりました。

いま、私は母の介護を続けながら、自宅で新しいことに挑戦しています。ケアマネさんとの月1回の面談は欠かさず受けて、困ったときは追加で相談する。福祉用具はベッドサイドの手すりを借りています。母の体調も、看護師の目で抱え込まず、普通の家族として病院に行きます。

ナースだった頃のように、自分が全部やらなくていい。手を抜くのではなく、抱え込まないというだけのことです。

看護師だった私も「全部きちんとやらなきゃ」と抱えていました。でも、少し力を抜いても介護は続けられます。

結論として伝えたいのは、介護は一人で背負い込まなくていいということです。少し力を抜く。それでも、介護は続けられます。

介護退職でみんなが悩む5つの不安と現実

最後に、よく聞かれる5つの不安に、ひとつずつお答えします。

Q1.親の介護退職で、失業手当はもらえる?

介護に専念するあいだは、すぐには受け取れません。失業手当は「働く意思があって、求職活動をする人」のためのお金だからです。介護のため今すぐは働けない、という状態だと、その時点では対象になりません。

ただ、受け取る道が消えるわけじゃないんです。「受給期間の延長」という手続きをしておけば、本来1年の受給期間を最長で退職翌日から4年まで延ばせます。介護が落ち着いて働けるようになってから、受け取れます。

なお、介護を理由とした退職は「特定理由離職者」にあたる場合があり、いざ受け取るときに自己都合退職のような給付制限がつかないことがあります。該当するかどうかや必要な書類は、お近くのハローワークで確認してください。

Q2.退職理由を「介護」と伝えるべき?嘘をついたらバレる?

正直に「介護のため」と伝えて大丈夫です。

無理に別の理由を作らなくて大丈夫です。むしろ退職理由を「介護」とすることで、先ほどの特定理由離職者として扱われ、手続き上も有利になることがあります。

会社に伝えるのが気まずいと感じるかもしれませんが、介護による退職は珍しいことではなく、人事も慣れています。嘘をついて後で食い違うより、正直に伝えるほうが、自分が楽です。

Q3.辞めた後、また働けますか?

働けます。特に資格を持っている人は、その強みが残ります。

看護師の資格は、辞めても消えません。介護が落ち着いたとき、日勤のみ・短時間・単発など、その時の自分に合った働き方で戻ることができます。

「辞めたら終わり」だと思わなくて大丈夫です。資格や経験は、いつでも戻れる保険として、あなたの中に残り続けます。

その時の自分に合った働き方で戻れる、とお伝えしました。具体的にどんな求人があるかは、看護師さん専門の MCナースネット で見られます。登録しておけば、介護が落ち着いたタイミングで、日勤のみ・短時間・単発の求人をすぐ探せます。「いつか戻る場所」を、今のうちに確保しておく感覚で大丈夫です。

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Q4.親の介護費用は、誰が払う?

まずは「親本人のお金」から出すのが基本です。

親の年金や貯蓄で、親の介護費用をまかなうのが原則です。子どもの貯金から無理に出し続けると、今度は自分の老後が立ち行かなくなります。

それでも足りないときは、自治体の助成や、生活保護、持ち家を担保にお金を借りるリバースモーゲージといった選択肢もあります。一人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーに、お金の相談もしてみてください。

Q5.親の介護で退職した人が、同じ立場の人に伝えたいこと

一番伝えたいのは、「親と話せるうちに、聞いておいてほしい」ということです。

私は看護師として、何百人もの患者さんとご家族を見てきました。それでも、自分の母のことになると、変化を「年だから」と流してしまいました。気づいたときには、母の気持ちを聞くことが難しくなっていました。

親がこんなふうになるなんて、誰も思っていません。「いつでも聞ける」と思っているうちに、その時間は過ぎていきます。

残りの時間で何がしたいか。それだけでも、親と話せるうちに聞いておいてください。そうすれば、後悔の少ない時間を、一緒に送れます。

まとめ

親の介護で退職するかどうか。その選択に、たった一つの正解はありません。

  • 介護のために辞める人は年に約10万人。あなた一人が抱えている悩みじゃないんです
  • 大事なのは「どちらが正解か」より「自分が納得して決められるか」
  • 辞めずに続ける道もある(公的制度・介護保険サービス・働き方を変える・家族で分担)
  • 辞めるなら、お金は「削る」より「働き続ける」道を。介護だけの毎日にしない
  • 自分の体も大事に。無理をすれば、必ずあとでつけが回ってきます

そして、一番お伝えしたいことがあります。

体がしんどい、介護がある。その理由で辞めたとして、最初の数ヶ月は、ほっとして幸せを感じるかもしれません。でも、その先です。これからの時間を、どう使いますか。

介護だけで一日が終わる毎日は、いつか心が持たなくなります。友達に会う、趣味を持つ、旅行に出かける、新しいことに挑戦する。何でもいいんです。「第二の人生をどう生きるか」を、少しずつでいいので考えてみてください。

私自身、34年勤めた病院を辞めて、今は母を介護しながら、新しいことに挑戦しています。辞めたことに後悔はありません。自分で納得して決めて、辞めたあとの時間を「介護だけ」にしなかったからだと思っています。

どの道を選んでも、その根っこにあるのは、親を大切に思う気持ちです。そして、あなた自身の人生も、まだこれからです。

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この記事を書いた人

総合病院で34年間勤務した元看護師。
無遅刻無欠席で働き続けたが、めまいをきっかけに
夜勤の限界を感じ退職。
同じ悩みを抱える50代看護師に向けて、
転職・お金・働き方をリアルな体験から発信しています。

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